仲介手数料の上限は家賃の1.1か月分|0.55か月分との分かれ目は「承諾」
出典 国土交通省 ほか1件
この記事でわかること
- 上限を定めているのは宅建業法ではなく、それを受けた国土交通大臣の告示
- 双方から受け取る合計の上限は借賃の1か月分の1.1倍
- 一方からは、承諾を得ている場合を除き0.55倍まで
- 上限の計算に共益費・管理費は入らない
部屋を借りるときに払うお金のうち、受け取れる額の上限が法令で決まっているのは仲介手数料だけです。敷金にも礼金にも鍵交換代にも法定の上限はありません。裏を返せば、金額の根拠を条文で確かめられるのはこの項目だけということになります。
上限を決めているのは、法律そのものではない
宅地建物取引業法46条1項は、国土交通大臣が報酬の額を定めると規定しています。実際の金額を書いているのはその告示のほう、昭和45年建設省告示第1552号(令和6年国土交通省告示第949号による最終改正)です。「宅建業法で1か月分と決まっている」という説明を見かけますが、正確には法律を受けた告示です。
数字は2つある
| どこにかかる上限か | 上限 | 条件 |
|---|---|---|
| 貸主と借主の双方から受け取る合計 | 借賃の1か月分の1.1倍 | 常にこの範囲 |
| 一方から受け取る額(居住用建物の賃貸借) | 借賃の1か月分の0.55倍 | 媒介の依頼を受けるにあたって依頼者の承諾を得ている場合を除く |
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この2つは別々の制限で、両方を同時に満たす必要があります。 借主から1.1か月分を受け取る形は、①合計が1.1倍以内であること ②借主の承諾があること、の両方が揃ってはじめて告示の範囲内になります。
「承諾」がいつのものかを見る
告示が言っているのは、媒介の依頼を受けるにあたって承諾を得ている場合、という書き方です。時点が指定されています。ここが記事の要点で、承諾は依頼の時点のものが問題になります。
- 見積書を渡された段階で初めて1.1か月分だと知った
- 契約直前に「うちは1か月分です」と言われた
こうした形になっていないか、自分の記憶と突き合わせるところまでが読者にできることです。そのうえでどう扱われるかは、個別の事情と当事者間のやりとりによります。 当サイトは契約の有効性を判断できませんし、払った金が戻るかどうかも判断できません。
別名目の項目があるかを見る
告示の第十一は、第二から第十までの規定によらない報酬の受領を禁じています。依頼者の依頼によって行う広告の料金を除き、仲介手数料とは別の名目で仲介業者が金銭を受け取ることは、この告示が想定していません。
そこで見積書を見るときは、金額だけでなく「誰に払う項目か」を1行ずつ確かめることになります。仲介業者へ払う行が2つ以上あるなら、そこは聞いていい場所です。
契約する前に聞いていいこと
- この仲介手数料は、家賃の何か月分として計算していますか
- 0.55か月分を超える部分について、私の承諾を前提にしていますか
- 仲介手数料とは別に、御社(仲介業者)へ払う項目は見積書にありますか
3つとも、値下げを求める質問ではなく計算の根拠を確かめる質問です。上限内の金額を下げさせる根拠が告示にあるわけではないので、そこは分けて考えておくほうが話が早く進みます。
よくある質問
- Q. 仲介手数料が家賃の1.1か月分と言われました。高すぎませんか。
- 告示は、貸主と借主の双方から受け取る報酬の合計を借賃の1か月分の1.1倍以内としています。借主が1.1か月分を負担する形も、媒介の依頼を受けるにあたって承諾を得ていれば範囲内です。国土交通省の相談対応事例集も、借主が1か月分・貸主が0.1か月分を負担する例を挙げています。上限を超えているかどうかと、金額が高いと感じるかどうかは別の問題です。
- Q. 「仲介手数料無料」の物件があるのはなぜですか。
- 告示が定めているのは上限だけで、下限はありません。貸主側が全額を負担する形にすれば、借主の負担はゼロになります。ただし初期費用の総額は敷金・礼金・その他の一時金を合わせたもので決まるので、仲介手数料の有無だけで安いかどうかは決まりません。総額で比べる必要があります。
- Q. 共益費も含めた金額で計算されていました。
- 告示がいう「借賃」は家賃のことで、共益費・管理費は含みません。共益費を足した額を基準に上限を計算すると、上限が実際より高く出ます。上限を確かめるときは家賃だけで計算します。
- Q. 上限を超えていた場合、払ったお金は返ってきますか。
- 当サイトでは判断できません。告示の上限を超えた受領は宅地建物取引業法上の問題ですが、それは監督官庁が業者を監督する枠組みの話で、払った額が当然に返還されるという筋道ではありません。相談先は、その業者を免許した都道府県の宅地建物取引業の担当窓口です。
この記事の出典
- 国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号、令和6年国土交通省告示第949号による最終改正)
- 国土交通省 民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)Q3 仲介手数料
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または所管の窓口で最新の内容をご確認ください。