反応が0.1秒遅いと、車は何メートル進むか|反射神経の数字を距離に置き換える
この記事でわかること
- ミリ秒のままでは速い遅いの意味が分からない。距離に直すと分かる
- 反応の0.1秒は、時速60kmで約1.7m。車1台ぶんには届かない
- 止まるまでの距離を決めているのは反応より速度。制動距離は速度の2乗で伸びる
- 速度が上がると視野も狭くなり、当たったときの致死率も上がる
反応速度を測ると「312ミリ秒」のような数字が出ます。ただこの単位のままだと、それが速いのか遅いのか、何の役に立つのかが分かりません。 分かる形にする方法が1つあります。距離に置き換えることです。
0.1秒のあいだに、車はどれだけ進むか
危険に気づいてからブレーキが効き始めるまで、車は止まりません。この間に進む距離を空走距離と呼びます。計算は掛け算だけです。
- 時速60km = 秒速およそ16.7m(60 ÷ 3.6)
- 反応が0.1秒遅れる = 16.7 × 0.1 = およそ1.7m
| 速度 | 秒速 | 反応 0.1秒ぶん | 反応 0.5秒ぶん | 反応 1秒ぶん |
|---|---|---|---|---|
| 時速30km | 8.3m | 0.8m | 4.2m | 8.3m |
| 時速40km | 11.1m | 1.1m | 5.6m | 11.1m |
| 時速60km | 16.7m | 1.7m | 8.3m | 16.7m |
| 時速80km | 22.2m | 2.2m | 11.1m | 22.2m |
| 時速100km | 27.8m | 2.8m | 13.9m | 27.8m |
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距離を決めているのは、反応より速度
止まるまでの距離は、空走距離だけではありません。警察庁の資料では次の形で示されています。
時速10kmの差が、当たるか当たらないかを分けています。 反応の0.1秒が生む1.7mと比べてください。同じ距離を稼ぐのに、速度を落とすほうが桁違いに簡単です。
しかも速度が上がると、見えている範囲そのものが狭くなります。 同じ資料では、運転に必要な情報の90%以上が視覚に依存するとしたうえで、視野を次のように示しています。
| 速度 | 視野 |
|---|---|
| 時速40km | 100度 |
| 時速130km | 30度 |
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つまり速度を上げると、反応する対象を見つけること自体が減ります。 反応速度をいくら磨いても、視野の外にあるものには反応できません。
当たってしまったあとも、決めているのは速度
同じ資料には、歩行者に当たったときの致死率も載っています。
| 衝突時の速度 | 歩行者が致命傷となる確率 |
|---|---|
| 時速30km | 約10% |
| 時速50km | 80%以上 |
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事故直前の速度別に見た致死率も示されていて、時速30km以下の0.23%に対し、時速70km超〜80km以下では14.55%(平成24年)と、桁が変わっています。
それでも測る意味がある使い方
反応速度が役に立つのは、他人と比べるときではなく、自分の日ごとの差を見るときです。反応速度は睡眠不足と疲労ではっきり落ちます。
- 同じ端末で測る。 スマホとPCでは、画面の描画と入力の反応が違います
- 同じ時間帯で測る。 朝と深夜では別物になります
- 初回は捨てる。 最初の数回はルールに慣れるぶんだけ上がります
- 3回やって真ん中を取る。 たまたま外した回に振り回されなくなります
そのうえで「今日は自分の平均よりはっきり落ちている」と分かったなら、その日は速度を落とす、運転そのものを見送る、という選択に使えます。測定の出口はスコアの更新ではなく、この判断です。
まとめ
- ミリ秒は距離に直すと意味が分かる。 時速60kmで0.1秒はおよそ1.7m
- 0.1秒の差は車1台ぶんに届かない。 効いてくるのは秒単位の遅れのほう
- 制動距離は速度の2乗で伸びる。 前方30mの例では、50km/hと60km/hで結果が分かれます
- 速度が上がると視野も狭くなる。 時速40kmで100度、時速130kmで30度
- 測る出口はスコアではなく、その日の判断。 落ちている日は速度を落とすほうが確実です
よくある質問
- Q. 反応速度の平均は何ミリ秒ですか。
- 当サイトでは一般的な平均値をお示ししていません。反応速度は端末の種類・画面の描画・入力方法によって大きく変わり、条件をそろえない比較には意味がないためです。比べるなら、同じ端末で測った自分の記録どうしにしてください。
- Q. 反射神経は鍛えられますか。
- そのゲームの成績は練習で上がります。ただし、訓練した課題の成績が上がることと、日常の能力が上がることは別だと報告されています。当サイトは「鍛えられます」という表示をしていません。
- Q. 反応が0.1秒速くなれば、事故を避けやすくなりますか。
- 0.1秒が生む距離は、時速60kmでおよそ1.7mです。一方で警察庁の資料は、前方30mに子供が飛び出した場合に50km/hでは回避できるが60km/hでは衝突する、という例を示しています。同じ距離を稼ぐなら、速度を落とすほうがはるかに大きく効きます。
- Q. 空走距離はどう計算しますか。
- 速度(km/h)を3.6で割って秒速に直し、反応にかかる秒数を掛けます。時速60kmなら秒速およそ16.7mで、1秒ならおよそ16.7mです。ただし実際の反応時間は人と状況で変わるため、当サイトは特定の秒数を標準値として示していません。
- Q. スコアが悪い日は、運転しないほうがいいですか。
- 当サイトのゲームは検査ではないので、可否の判断に使えるものではありません。ただし睡眠不足や疲労で反応が落ちることは知られています。ふだんよりはっきり落ちていると感じる日は、速度を控えるなどの余裕を持つ材料にはなります。
この記事の出典
- 警察庁「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会」提言 参考資料(速度による停止距離・致死率・視野)
- 警察庁「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」(平成25年12月26日)
- Owen et al. (2010) Putting brain training to the test, Nature
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または 所管の窓口で最新の内容をご確認ください。