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夢占いの意味は、どこから来ているのか|『周公解夢』の原文が実際に書いていること

この記事でわかること

  • 夢の意味を並べた本は実在し、原文が公開されている
  • 同じモチーフでも、条件で吉凶が正反対に入れ替わる
  • 吉凶が「意味」ではなく「音」で決まっている項目がある
  • 古代エジプトにも、同じ形式の夢の書が残っている

気になる夢を見て検索すると、「◯◯の夢は△△を意味します」と書いてあるページがいくつも出てきます。ただ、誰が、いつ、何を根拠にそう決めたのかは、たいてい書かれていません。

夢の意味を並べた本そのものは実在します。この記事では、その本が実際に何と書いているかを原文のまま見ていきます。当たるかどうかの話はしません。

「夢の意味を並べた本」は、実在する

いちばんよく引かれるのが『周公解夢』です。周の周公旦がまとめたと伝えられてきましたが、現在では周公旦の名を借りた後世の書と考えられています。

中身は四字ずつの句で「〜すれば〜」と吉凶を示す形式で、天地・身体・衣服・飲食・動物など二十六の項目に分かれています。20世紀初めに敦煌から『新集周公解夢書』の写本が見つかっており、唐の時代にはすでに同種の夢の書が使われていたことが分かっています。

もう一つ、はるかに古いものが残っています。古代エジプトの『夢の書』です。パピルス・チェスター・ビーティー3と呼ばれる文書に書かれたもので、第19王朝・ラメセス2世のころ(紀元前13世紀ごろ)のものとされます。現存する最古級の夢判断の書で、大英博物館が所蔵しています。

原文は、こういう句が並んでいるだけ

『周公解夢』が実際にどう書かれているかを、いくつか挙げます。

原文読み
齒自落者父母凶歯がひとりでに抜けるのは、父母にとって凶。三、身體 面目 齒髮
蛇咬人主得大財蛇が人を咬むのは、大きな財を得る。二十五、龍蛇 禽獸 等類
拾得錢物皆大吉お金や品物を拾うのは、いずれも大吉。九、金銀 珠玉 絹帛
放聲大哭歡樂生声を上げて大泣きするのは、喜びごとが生まれる。十八、哀樂 病死 歌唱

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原文は中國哲學書電子化計劃(ctext.org)所収の伝本から引いたものです。読みは当サイトで付けたもので、既存の翻訳を写したものではありません。

見てのとおり、理由の説明はありません。 「なぜそうなるのか」は一切書かれておらず、句がひたすら並んでいます。現代の夢占いによく出てくる「象徴」「深層心理」といった言葉も、この本には出てきません。後から付け加えられた説明です。

同じモチーフでも、条件で吉凶が入れ替わる

歯の夢が分かりやすい例です。同じ篇の中に、正反対の2句が並んでいます。

  • 齒自落者父母凶 — 歯がひとりでに抜けるのは、父母にとって凶
  • 齒落更生子孫興 — 歯が抜けて、また生えてくるのは、子孫が栄える

分かれ目は抜けたあとに生え直すかどうかです。「歯が抜ける夢は凶」とだけ書いてあるページは、この本の半分しか写していないことになります。

落ちる夢も同じ形です。「升山落地主失位(山に登って地に落ちるのは、地位を失う)」「上樹忽折有死傷(木に登って枝が急に折れるのは、死傷がある)」と並んでいて、凶とされているのは落ちること自体ではなく、いったん上がってから落ちることです。登る夢のほうは吉に置かれています。

吉凶が「意味」ではなく「音」で決まっているものがある

この本を読んでいて、いちばん意外なのがここです。果物の項では、なつめや瓜の種は子を授かる吉とされています。ところが梨だけが凶です。

  • 食梨者主失財帛 — 梨を食べるのは、財を失う

理由は梨の性質ではありません。中国語で「梨(リー)」と「離(リー)」が同じ音だからだと説明されます。中国では今も、梨を切り分けて人と分け合うことを避ける習わしがあります。

棺の夢が吉なのも同じ仕組みです。「將棺入宅祿位至(棺を家に運び入れるのは、俸禄と地位が来る)」とあり、「棺(グアン)」と「官(グアン)」が同じ音であることと結びつけて説明されます。

つまりこの本の吉凶は、中国語という言語の上に乗っています。 日本語に訳した時点で、その理由は消えます。「梨の夢は財を失う」とだけ訳されたページを読んでも、なぜそうなるのかは分かりません。

3000年前のエジプトも、同じ形式で書かれていた

エジプトの『夢の書』は「もし人が夢の中で〜を見たなら」という書き出しで100件あまりの夢を並べ、吉と凶に分けて意味を記しています。凶の項目は赤いインクで書き分けられていました。

紀元前13世紀ごろのエジプトと、後世の中国と、両方が「モチーフを並べて吉凶を振る」という同じ形を取っています。夢に意味を割り当てて一覧にするという発想そのものが、かなり古くからあったことが分かります。

まとめ

  1. 夢の意味を並べた本は実在する。 『周公解夢』の原文は公開されていて、誰でも確認できます
  2. 原文に理由の説明は無い。 四字の句が並んでいるだけで、「象徴」「深層心理」は後から付いた説明です
  3. 同じモチーフでも条件で吉凶が入れ替わる。 歯は「また生えるか」、落ちる夢は「上がってから落ちたか」で分かれます
  4. 音で決まっている項目がある。 梨は「離」、棺は「官」と同じ音であることが理由とされます
  5. 出典が書いてあるかを見る。 どの本のどの句かが分かれば、食い違ったときに元に当たれます

よくある質問

Q. 夢占いに根拠はありますか。
当サイトが出しているのは、古い夢の書に何と書いてあるかだけです。夢の内容とその後に起きることの関係を科学的に示したものではありません。そのうえで、どの本のどの句を引いているかは確認できる形にしています。
Q. 『周公解夢』は誰が書いたのですか。
周の周公旦がまとめたと伝えられてきましたが、現在では周公旦の名を借りた後世の書と考えられています。20世紀初めに敦煌から『新集周公解夢書』の写本が見つかっており、唐の時代にはすでに同種の夢の書が使われていたことが分かっています。
Q. 歯が抜ける夢は悪い夢ですか。
『周公解夢』は条件で読み分けています。ひとりでに抜けるのは父母にとって凶、抜けてまた生えてくるのは子孫が栄える、と正反対の句が同じ篇に並んでいます。「歯が抜ける夢は凶」とだけ書くと、片方だけを写したことになります。
Q. サイトによって夢の意味が違うのはなぜですか。
出典を書いていないページが多く、そもそも比べようがないためです。どの本のどの句かが書いてあれば、食い違ったときに元の本に当たって確かめられます。
Q. 原文はどこで読めますか。
『周公解夢』の本文は、中國哲學書電子化計劃(ctext.org)で公開されています。この記事と当サイトの夢占いのページは、そこから引いています。

この記事の出典

制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または所管の窓口で最新の内容をご確認ください。

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