医療費が払えないとき、最初に言う相手は病院です|黙って帰るのがいちばん損になります
この記事でわかること
- まず病院の相談窓口に言う。ここを飛ばすと、ほかの制度にもつながらない
- 高額療養費はあとからでも申請できる。期限は診療の翌月から2年
- 国民健康保険には、窓口で払う分そのものを減らせる決まりがある
- 無料低額診療を行っている病院が、全国にある
病院の会計で金額を見て、何も言わずに帰ってしまう人がいます。あとから督促が来て、行けなくなり、治療も止まります。これがいちばん損をする形です。
この記事は、払えないと分かったあとに、どこへ、どの順番で言うかだけを書いたものです。金額の計算はしません。むずかしい言葉はそのつど言いかえます。
1. 最初の相手は、その病院の相談窓口です
多くの病院には、医事課(いじか)という会計の窓口と、医療相談室や地域連携室と呼ばれる部屋があります。そこには医療ソーシャルワーカーという、お金や生活の相談を受ける職員がいることがあります。
言い方は、これだけで十分です。「支払いが難しいので、相談させてください」。 病名や事情を細かく話す必要はありません。相談があった時点で、分割や制度の案内につながります。
2. 払ったあとでも、戻ってくるお金があります
高額療養費(こうがくりょうようひ)は、1か月に自分で払う医療費が上限を超えたとき、超えた分があとから戻ってくる制度です。健康保険に入っていれば誰でも対象になります。
| 紙に書いてある名前 | かんたんに言うと |
|---|---|
| 高額療養費支給申請書 | 払いすぎた分を返してもらうための申請。加入している健康保険に出す |
| 限度額適用認定証 | 先に取っておくと、窓口で払う額が最初から上限までになる紙 |
| 高額療養費貸付制度 | 戻ってくるまでの間、当面のお金を無利子で貸してくれるしくみ(保険者による) |
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3. 国民健康保険には、窓口の負担そのものを減らす決まりがあります
国民健康保険法第44条は、特別の理由があって窓口の負担(一部負担金)を払うことが難しいと認められる人に対して、市区町村が次の3つの措置をとれる、と定めています。
- 一部負担金を減額する
- 一部負担金の支払いを免除する
- 徴収を猶予する(払う時期を先に延ばす)
対象になる「特別の理由」は、災害、事業の休廃止、失業などで収入が著しく減った場合が中心です。基準は市区町村ごとに決めています。 使えるかどうかを判断するのは自治体なので、国民健康保険の窓口で聞くのがいちばん早いです。
4. 無料低額診療という制度があります
無料低額診療事業(むりょうていがくしんりょうじぎょう)は、社会福祉法に位置づけられた事業で、生活が困難な人に対して、無料または低い料金で診療を行うというものです。実施している病院・診療所が全国にあります。
- 生活保護を受けている人だけの制度ではありません。 生活に困っている人が対象です
- どの病院でも使えるわけではありません。 実施している施設が決まっています
- 施設の一覧は、都道府県や市区町村のサイトで公開されています
- 軽減の割合や期間は施設ごとに決まっています。 その場で確認してください
5. それでも足りないときの窓口
| 窓口 | どんなときに |
|---|---|
| 市区町村の福祉の窓口 | 生活保護には、医療費だけを対象にする医療扶助という部分がある |
| 自立相談支援機関 | 生活困窮者自立支援制度の相談窓口。家計や住まいもまとめて相談できる |
| 社会福祉協議会 | 生活福祉資金の貸付。緊急でお金が要るときの相談先 |
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きょう、やること
- 病院に電話して「支払いの相談をしたい」と伝える(相談室の予約が取れます)
- 保険証を見て、自分がどの健康保険に入っているか確かめる(高額療養費の申請先になります)
- この2年以内に高額の医療費を払っていないか、領収書を探す(翌月1日から2年以内なら申請できます)
よくある質問
- Q. 医療費が払えません。まずどこに相談すればいいですか。
- その病院の医事課や医療相談室に「支払いが難しいので相談させてください」と伝えてください。分割の相談や、使える制度の案内はそこから始まります。黙って帰ると督促に進み、受診も続けにくくなります。
- Q. 窓口で全額払ってしまいました。もう高額療養費は使えませんか。
- 使えます。高額療養費はあとから申請して払い戻しを受ける形が基本です。申請の期限は診療を受けた月の翌月1日から2年なので、過去に払った分もさかのぼって申請できることがあります。
- Q. 国民健康保険で、窓口の負担を減らしてもらえることはありますか。
- 国民健康保険法第44条により、特別の理由があって一部負担金を支払うことが困難と認められる場合、市区町村は一部負担金の減額・免除・徴収猶予の措置をとることができます。基準は市区町村が定めているため、国民健康保険の窓口で確認してください。
- Q. 無料低額診療は生活保護を受けていないと使えませんか。
- 生活保護を受けている人に限られる制度ではありません。生計が困難な人が対象です。ただし実施している病院・診療所が決まっているため、住んでいる都道府県や市区町村が公開している実施施設の一覧を確認してください。
- Q. 無料低額診療なら、薬代も無料になりますか。
- 対象になるのはその施設で行う診療です。院外の薬局で受け取る薬の代金は対象外になることがあります。自治体独自の助成がある場合もあるため、相談のときに薬代の扱いを必ず確認してください。
この記事の出典
- 厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
- e-Gov法令検索 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)
- e-Gov法令検索 社会福祉法(昭和26年法律第45号)
- 厚生労働省 無料低額診療事業等に係る実施状況の報告
- 厚生労働省 生活保護制度
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または所管の窓口で最新の内容をご確認ください。