住民税は「去年のぶん」を今払っています|6月に手取りが変わる理由と、辞めた月で決まる一括徴収
出典 総務省 ほか2件
この記事でわかること
- 住民税は、去年の収入に対してかかる税金を、今年の6月から払うしくみ
- だから働き始めた年は引かれず、2年目の6月からいきなり引かれる
- 1月1日に住んでいた市区町村に払う。引っ越しても1年間は前の市区町村
- 辞めた月によって、最後の給与から数か月分まとめて引かれることがある
給与明細のなかで、住民税だけがほかの項目と違う動き方をします。 所得税・健康保険・厚生年金は「今月の給与」に対してかかりますが、住民税は「去年の収入」に対してかかった税金を、今年になってから払っています。
この1年のずれを知らないと、次の3つが全部「意味の分からない出来事」になります。この記事では、むずかしい言葉はそのつど言いかえながら進めます。金額の計算はしません。
- 入社2年目の6月から、急に手取りが減った
- 引っ越したのに、前に住んでいた市から納付書が届いた
- 会社を辞めたら、最後の給与から見たことのない額が引かれた
1. まず「前年課税」ということばだけ覚えます
住民税は、去年の1月1日から12月31日までの収入をもとに額が決まります。決まった額を、今年の6月から来年の5月までの12回に分けて納めます。これを前年課税(ぜんねんかぜい)と呼びます。「前の年のぶんに、あとから課税する」という意味です。
| いつのお金か | いつ払うか |
|---|---|
| 2025年1月〜12月に働いて得た収入 | 2026年6月〜2027年5月に納める |
| 2026年1月〜12月に働いて得た収入 | 2027年6月〜2028年5月に納める |
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2. 働き始めた年に引かれないのは、間違いではありません
学校を出て働き始めた年は、その前の年に収入がほとんどありません。 住民税は前の年の収入にかかるので、1年目は引かれる住民税がない、または非常に少ない状態になります。
そして2年目の6月から、1年目に働いた分の住民税が引かれ始めます。給与の額面は変わっていないのに手取りだけ減るので、「昇給したのに減った」と感じるのはこれが原因です。明細の書き間違いではありません。
3. 払う相手は「1月1日に住んでいた市区町村」です
住民税は、その年の1月1日時点で住んでいた市区町村に納めます。2月に引っ越しても、その年の分は前に住んでいた市区町村に払います。引っ越し先から請求が来ないのはそのためです。
「引っ越したのに前の市から納付書が届いた」は、手続き漏れではなく、そういうしくみです。捨てないでください。
4. 納め方は2つ。名前だけ知っておくと通じます
| 紙に書いてある名前 | かんたんに言うと |
|---|---|
| 特別徴収(とくべつちょうしゅう) | 会社が給与から毎月引いて、代わりに納めてくれる形。6月から翌年5月までの12回 |
| 普通徴収(ふつうちょうしゅう) | 自分で納付書や口座振替で納める形。ふつう年4回(6月・8月・10月・翌1月が目安) |
| 特別徴収税額の決定通知書 | 「あなたの今年の住民税はこの額です」と書かれた紙。5月〜6月に会社経由で渡される |
| 均等割(きんとうわり)/所得割(しょとくわり) | 住民税の中身。均等割は収入にかかわらず同額、所得割は所得に応じてかかる分 |
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5. 辞めた月で、最後の給与から引かれる額が変わります
ここがいちばん驚かれるところです。会社を辞めると、残っている住民税の払い方を決めなければなりません。給与から毎月引く形が使えなくなるからです。
辞めた月によって、扱いが法律で分かれています。
| 辞めた時期 | 残りの住民税がどうなるか |
|---|---|
| 1月1日〜4月30日 | 5月分までを、最後の給与や退職金からまとめて引かれます(本人が希望しなくても) |
| 6月1日〜12月31日 | 原則は自分で納める形(普通徴収)に切り替わります。本人が申し出ればまとめて引いてもらえます |
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6. 辞めたあと、納付書は自宅に届きます
まとめて引かれなかった分は、自分で納める形に切り替わり、自宅に納付書が届きます。 転職先が決まっている場合は、新しい会社に頼めば給与天引きに戻せることもあります(手続きは会社と市区町村の間で行われます)。
無職の期間に届くこの納付書は、去年働いていたぶんの税金です。今の収入とは関係なく届くので、辞める前に「あといくら残っているか」を知っておくと、生活費の計画が崩れません。額は、5月〜6月に受け取った決定通知書に書いてあります。
きょう、やること
- 給与明細の「住民税」の行を見る(金額を1つメモするだけでかまいません)
- 5月〜6月にもらった「特別徴収税額の決定通知書」を探す(今年の住民税の総額と、月々の額が書いてあります)
- 辞める予定があるなら、辞める月をカレンダーで確認する(1月〜4月に辞めると、最後の給与からまとめて引かれます)
よくある質問
- Q. 入社2年目の6月から手取りが減りました。何かの間違いですか。
- 間違いではありません。住民税は前年の1月から12月までの収入をもとに計算され、その年の6月から翌年5月にかけて納めるしくみです。働き始めた年は前年の収入がほとんどないため住民税がかからず、2年目の6月から1年目に働いた分の住民税が引かれ始めます。
- Q. 引っ越したのに、前に住んでいた市から納付書が届きました。
- 住民税はその年の1月1日時点で住んでいた市区町村に納めるしくみです。年の途中で引っ越しても、その年度分は引っ越し前の市区町村に納めます。手続き漏れではないので、届いた納付書はそのまま使ってください。
- Q. 会社を辞めると、残りの住民税はどうなりますか。
- 辞めた時期によって分かれます。1月1日から4月30日までに退職した場合は、5月分までを最後の給与や退職手当からまとめて徴収することが地方税法で定められています。6月1日から12月31日までに退職した場合は原則として自分で納める形に切り替わり、本人が申し出た場合にまとめて徴収されます。
- Q. 収入が減って住民税が払えません。放っておくとどうなりますか。
- 延滞金が加算され、督促のあとは財産の差押えに進む手続きがあります。払えないことが分かった時点で市区町村の税務担当窓口に相談してください。分割での納付や、事情に応じた猶予・減免の相談先が用意されています。滞納してから相談するより、期限前に相談したほうが選べる方法が多くなります。
- Q. 住民税の税率は何%ですか。
- 所得に応じてかかる所得割の税率は、市町村民税6%と道府県民税4%を合わせた10%が標準です。このほかに、所得にかかわらず定額でかかる均等割があります。所得税のように所得が増えるほど税率が上がる形ではありません。
この記事の出典
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または所管の窓口で最新の内容をご確認ください。