求人票の「介護施設」は中身が別物|特養と老健で、置くべき看護職員の数が3倍以上違う
この記事でわかること
- 特養と老健は、人員基準を定めている省令がそれぞれ別にある
- 入所者100人あたりの看護職員は、特養3人・老健は約9.5人
- 特養で夜間に義務づけられているのは「介護職員または看護職員」
- 訪問看護の「臨床経験3年」は法令の要件ではなく採用基準
看護師の求人票では、特別養護老人ホームも介護老人保健施設も、まとめて「介護施設」と書かれます。実際、厚生労働省の統計でも「介護保険施設等」という1つの区分に入っています(107,984人・7.9%)。
しかしこの2つは、人員の基準を定めている省令がそれぞれ別で、置くべき看護職員の数が大きく違います。
1. 根拠になっている省令が別々にある
| 施設 | 根拠 | 看護職員の定め |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設) | 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号) | 入所者30人以下で1人以上、30人超50人以下で2人以上、50人超130人以下で3人以上。130人を超えると50人ごとに1人ずつ加えます(常勤換算)。うち1人以上は常勤 |
| 介護老人保健施設(老健) | 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号) | 看護職員と介護職員をあわせて入所者3人につき1人以上とし、そのうち看護職員は総数の7分の2程度が標準 |
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2. 入所者100人でそろえて並べる
定め方が違うままでは比べられないので、入所者100人の施設にそろえます。
- 特別養護老人ホーム — 100人は「50人超130人以下」に入るので、置くべき看護職員は3人以上
- 介護老人保健施設 — 看護・介護職員をあわせて 100 ÷ 3 = 約33.3人。そのうち看護職員は7分の2程度なので、33.3 × 2 ÷ 7 = 約9.5人
なお、これは置くべき最低の人数であって、実際に何人いるかとは別です。求人票の「看護師◯名」ではなく、その施設に現在何人いるかを確認する必要があります。
3. 「夜勤がある施設」でも、夜に看護職員がいるとは限らない
入所施設には夜勤がありますが、看護職員が夜間に常駐しているかどうかは施設によって違います。
通所(デイサービス)には夜勤がありません。同じ法人の求人でも、入所と通所では働き方がまったく変わります。
4. 「臨床経験3年」は法令の要件ではない
介護施設と並んで検討されることが多い訪問看護についても、法令が定めているものと、事業所の採用基準とを分けて見る必要があります。
| よく言われること | 実際の定め |
|---|---|
| 訪問看護は臨床経験3年以上が必要 | 法令にも省令にもありません。 事業所の採用基準として広く使われている数字です |
| 訪問看護ステーションの人員基準 | 看護職員は常勤換算2.5以上、うち1人は常勤。管理者は保健師・助産師又は看護師でなければならない(平成12年厚生省令第80号) |
| 病院の看護師の配置 | 療養・精神・結核病床の入院患者を4で除した数+感染症・一般病床の入院患者を3で除した数+外来患者30人ごとに1(医療法施行規則19条) |
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5. 求人票で確かめること
- 施設の種類。 特別養護老人ホーム / 介護老人保健施設 / 介護医療院 / 通所 / 居宅のどれか
- 看護職員が実際に何人いるか。 基準の最低人数ではなく現在の人数
- 夜間に看護職員がいるのか、オンコールなのか。 オンコールなら手当と呼び出しの頻度
- 医師が常勤しているか、嘱託か。 指示を仰ぐ相手と連絡の手段
- 看取りをしているか。 している場合の体制
- 医療処置がどこまであるか。 胃ろう・吸引・インスリン・褥瘡処置
まとめ
- 特養と老健は、人員基準の省令が別々にあります
- 入所者100人あたりの看護職員は、特養3人・老健は約9.5人。3倍以上の差です
- 特養で夜間に義務づけられているのは「介護職員または看護職員」。 看護職員がオンコールの施設があります
- 訪問看護の「臨床経験3年」は法令の要件ではなく、事業所の採用基準です
- 求人票では施設の種類と、実際にいる看護職員の人数を確認します
よくある質問
- Q. 特養と老健では、どちらが看護師の人数が多いのですか。
- 省令が定める最低人数で比べると、入所者100人あたり特別養護老人ホームが3人以上、介護老人保健施設が約9.5人(看護・介護職員の総数33.3人の7分の2程度)です。3倍以上の差があります。ただしこれは基準であって、実際の配置人数は施設ごとに異なります。
- Q. 特養の夜勤では、看護師が1人で対応するのですか。
- 施設によります。特別養護老人ホームで夜間の配置が義務づけられているのは介護職員または看護職員であり、看護職員でなければならないとはされていません。そのため、夜間は介護職員が勤務して看護職員はオンコールで対応する体制の施設もあります。応募先の体制を求人票と面接で確認してください。
- Q. 介護施設は病院より医療行為が少ないですか。
- 施設の種類と方針によります。介護保険施設等では看護職員の人数が少なく、医師が常勤していない施設もあるため、その場で判断する場面が病院より多くなることがあります。胃ろう・吸引・インスリン・褥瘡処置がどこまであるか、看取りをしているかは、施設ごとに確認する必要があります。
- Q. 介護施設で働く看護師は全国に何人いますか。
- 厚生労働省の令和6年衛生行政報告例では、介護保険施設等の区分で107,984人(就業看護師全体の7.9%)です。訪問看護ステーションの91,022人(6.7%)より多い区分になります。常勤換算では88,827.6人で、実人員の82.3%です。
- Q. 介護施設への転職に必要な資格や経験年数はありますか。
- 法令上の経験年数の定めはありません。ただし看護職員の人数が少なく、医師が常勤していない施設もあるため、その場で判断する場面が病院より多くなります。求人票の応募条件は事業所ごとの採用基準であり、法令の要件とは別のものです。
この記事の出典
- e-Gov法令検索 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)
- e-Gov法令検索 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)
- e-Gov法令検索 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)
- e-Gov法令検索 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)
- 厚生労働省 令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または所管の窓口で最新の内容をご確認ください。