「夜勤手当1回◯円」の中身は3つに分かれる|深夜割増が別か、含まれているかで月の額面が変わる
この記事でわかること
- 法律が払えと言っているのは深夜割増(22時〜5時・2割5分以上)だけ
- 夜勤手当そのものには法律の規定がなく、額も中身も病院が決めている
- 病院の払い方は3通り。「深夜割増を含む定額」が52.0%で最多
- 時間単価は基本給だけでは決まらない。外せる手当は7つの限定列挙
「うちは夜勤手当が1回11,000円」「前の病院は8,000円だった」。看護師同士でこの数字を比べても、同じ土俵に乗っていないことがあります。
理由は単純で、夜勤手当という言葉が、中身の違うものを同じ名前で呼んでいるからです。この記事では法律で決まっている部分と、病院が決めている部分を分けます。
1. 法律が払えと言っているのは「深夜割増」だけ
労働基準法37条4項は、午後10時から午前5時までの間に働かせた場合、通常の労働時間の賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金を払わなければならないと定めています。これが深夜割増賃金です。
一方、「夜勤手当」という名前の手当を払え、という規定は労働基準法のどこにもありません。 額も、深夜割増を含むかどうかも、病院が就業規則で決めています。
2. 病院の払い方は3通りある
日本看護協会の「2025年 病院看護実態調査」(2026年3月31日公表)は、平日1回あたりの夜勤に対して何を払っているかを病院に聞いています。
| 払い方 | 割合 |
|---|---|
| 深夜割増を含む定額の夜勤手当を支給している | 52.0% |
| 深夜割増とは別に、定額の夜勤手当を支給している | 31.2% |
| 深夜割増のみで、夜勤手当は支給していない | 4.5% |
| 上記にあてはまるものはない | 7.7% |
| 無回答・不明 | 4.6% |
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最も多いのは「含む」形で、過半数の52.0%です。この形だと、法律で決まっている分と病院の上乗せ分が1つの数字にまとまっているので、外からは区別が付きません。
3. 明細を見れば、どの形かが分かる
- 「夜勤手当」と「深夜手当(深夜割増)」が別々の行にある → 31.2%の「別に支給」の形
- 「夜勤手当」の行だけがあり、深夜割増の行が無い → 52.0%の「含む」形であることが多い
- 夜勤手当の行が無く、深夜割増だけがある → 4.5%の形
行の名前は病院ごとに違います。「夜勤手当」「夜間看護手当」「二交代夜勤手当」など呼び方はさまざまなので、名前ではなく、深夜割増にあたる行があるかどうかで見てください。
4. 時間単価は、基本給だけでは決まらない
深夜割増を計算するには、1時間あたりの賃金(時間単価)が要ります。労働基準法施行規則19条1項4号は、月給制の場合、月によって定められた賃金を月における所定労働時間数で割った額としています。
ここで見落とされやすいのが、割った元になる「月によって定められた賃金」は基本給ではないということです。原則としてすべての手当が入り、外せるものだけが条文に列挙されています。
| 扱い | 手当 |
|---|---|
| 外せる(7つだけ) | 家族手当 / 通勤手当 / 別居手当 / 子女教育手当 / 住宅手当 / 臨時に支払われた賃金 / 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 |
| 外せない | 職務手当 / 資格手当 / 地域手当 / 危険手当 / 特殊業務手当 など、上に無いものすべて |
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5. 調査の平均額は、比べる前提をそろえてから使う
同じ調査は、「定額の夜勤手当を支給している」と答えた病院の1回あたりの平均額も出しています。
| 勤務の形 | 2025年 | 2010年 |
|---|---|---|
| 三交代制 準夜勤 | 4,300円 | 4,077円 |
| 三交代制 深夜勤 | 5,211円 | 5,053円 |
| 二交代制 夜勤 | 11,470円 | 10,745円 |
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この数字を自分の額と直接比べる前に、上の3通りのどれかを確認してください。 「含む」病院の11,470円と「別」の病院の11,470円は、同じ金額ではありません。
まとめ
- 法律で決まっているのは深夜割増(22時〜5時・2割5分以上)だけ。 夜勤手当そのものに規定はありません
- 病院の払い方は3通り。「深夜割増を含む定額」が52.0%で最多です
- 同じ金額でも、含むか別かで月の額面が変わります
- 時間単価の元になるのは基本給ではない。 外せる手当は7つの限定列挙です
- 調査の平均額と比べるときは、払い方と夜勤回数の前提をそろえてから
よくある質問
- Q. 夜勤手当は法律でいくら以上と決まっていますか。
- 決まっていません。労働基準法に「夜勤手当」という手当の規定はなく、額も支給の有無も病院が就業規則で定めます。法律が定めているのは、22時から5時までの深夜時間帯に働いた場合の割増賃金(通常の賃金の2割5分以上)だけです。
- Q. 夜勤手当をもらっていれば、深夜割増は払われていることになりますか。
- その夜勤手当が深夜割増を含む形で定められているかによります。日本看護協会の2025年調査では52.0%の病院が「深夜時間帯の割増賃金を含む定額の夜勤手当を支給している」と答えています。含む形の場合、手当の額が法定の深夜割増額を下回っていないかが論点になります。就業規則の記載を確認してください。
- Q. 残業していない夜勤でも深夜割増は付きますか。
- 付きます。深夜割増は所定労働時間の内外を問わず、22時から5時までの時間帯に働いた事実によって発生します。時間外労働の割増(労働基準法37条1項)とは別の規定です。
- Q. 16時間夜勤は8時間を超えますが、時間外の割増は付きますか。
- 1か月単位の変形労働時間制を採用していて、その日の所定労働時間が16時間に設定されていれば、その勤務では法定時間外労働は発生しません。採用しているかどうかは就業規則に書かれています。採用の有無は法律で決まっているものではないため、当サイトの計算では入力項目にしています。
- Q. 仮眠の時間にも深夜割増は付きますか。
- 休憩・仮眠は労働時間ではないので、原則として割増は付きません。ただし名目が仮眠であっても、ナースコールや急変への対応が義務づけられていて自由に過ごせない時間は、労働時間(手待時間)として扱われることがあります。実態に応じた判断になります。
この記事の出典
- e-Gov法令検索 労働基準法(昭和22年法律第49号)
- e-Gov法令検索 労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)
- 日本看護協会 2025年 病院看護実態調査 結果(2026年3月31日公表)
- 厚生労働省 確かめよう労働条件 時間外労働・休日労働・深夜労働
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または所管の窓口で最新の内容をご確認ください。