カリスマ性は「ある・ない」の前に、どこへ向けているか|衆と己で分かれる
出典 The Leadership Quarterly ほか1件
この記事でわかること
- カリスマ性の研究には、力の「向き先」で分ける枠組みが古くからある
- 全体に向ける(衆)と、自分の目標に向ける(己)の2つ
- 同じ人が、置かれた場面によって評価を大きく割られる理由がここにある
- 当サイトはこの向きを、人の良し悪しの判定には使わない
強いリーダーの評価は、たいてい真っ二つに割れます。同じ人物が「あの人のおかげで会社が変わった」とも「あの人がいたから誰も物を言えなかった」とも言われます。
この割れ方は、その人のカリスマ性が強いか弱いかでは説明できません。強さではなく、向きの話だからです。
力の「向き先」で分ける枠組み
カリスマ的リーダーシップの研究では、1990年代からカリスマを2つの向きに分ける枠組みが使われてきました。House と Howell(1992年)の整理が代表的です。
| 向き | 主語 | その力を何に使うか |
|---|---|---|
| 衆(socialized) | 周り | 集団全体の利益に向ける。自分がいなくても回る形を作りたがる |
| 己(personalized) | 自分 | 自分の目標・自分の影響力を大きくすることに向ける |
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注意したいのは、この2つが「能力の高低」ではないことです。どちらの向きの人も、人を動かす力そのものは同じだけ持ち得ます。変わるのは、その力が働いたあとに何が残るかのほうです。
同じ人の評価が割れるのは、場面が変わるから
向きの違いは、場面によって長所にも短所にもなります。 ここを「良い/悪い」で固定してしまうと、現実の説明ができません。
| 場面 | 衆に向いている人 | 己に向いている人 |
|---|---|---|
| 決めきれない立ち上げ期 | 全員の合意を待つぶん遅れることがある | 先に決めて走る。ここでは強い |
| 人が増えて仕組みが要る時期 | 任せる形を作る。ここでは強い | 判断が自分に集まり、詰まりやすい |
| 反対が多い変革 | 反発を受けると止まることがある | 押し通せる。結果として前に進む |
| 後任に渡すとき | 抜けても回る | 抜けた穴がそのまま空く |
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だから「カリスマ型の上司についていけない」と感じたとき、問題はその人の能力ではなく、いまの場面と向きが合っていないことのほうが多いという見方ができます。
当サイトが、この向きを判定に使わない理由
ここは正直に書きます。元になった枠組みでは、personalized(己)の側を、自分の利益のために他者を利用する方向として扱っています。 つまり、そのまま持ち込むと片方の側に人格の不合格を出すことになります。
- 当サイトが借りたのは「向き先で分かれる」という構造だけです。 どちらの向きが優れているという表示はしません
- カリスマ度の点数に、向き先は入れていません。 点数を作っているのは影響力と親しみやすさの2つだけです
- 16タイプ全部に強みを3つ載せています。 己の側の8タイプが弱点だけになる、ということが起きない作りにしてあります
自分の向きを知ったあとにやること
- いまの場面が、どちらの向きを求めているかを書く。 立ち上げか、仕組み作りか、引き継ぎかで答えが変わります
- 自分の向きとずれていたら、行動を1つだけ足す。 己に寄っている人が仕組み作りの時期にいるなら「自分がいなくても判断できる基準を1つ書き出す」、衆に寄っている人が立ち上げにいるなら「合意を待たずに決める場面を1つ作る」です
- 向きそのものを変えようとしない。 変えるのは行動で、向きは持ち味のほうです
まとめ
- カリスマ性には向きがある。 全体に向ける(衆)と、自分の目標に向ける(己)の2つです
- 向きは能力の高低ではない。 どちらも人を動かす力そのものは同じだけ持ち得ます
- 評価が割れるのは、場面と向きが合っているかどうか。 立ち上げに強い向きと、引き継ぎに強い向きは違います
- 当サイトは向き先を点数に入れない。 借りたのは分かれ方の構造だけです
- 40問で人の善悪は測れない。 出しているのは回答時点の傾向の目安までです
よくある質問
- Q. カリスマ性が強い人は、いつか組織を壊しますか。
- そう決まってはいません。研究で分けられているのは強さではなく、力をどこへ向けているかのほうです。同じ強さでも、全体に向けている場合と自分の目標に向けている場合で、後に残るものが変わります。
- Q. 「己」に寄っているのは悪いことですか。
- 当サイトでは優劣を付けていません。元の枠組みでは自分の利益に向ける側を厳しく扱っていますが、当サイトが借りたのは「向き先で分かれる」という構造だけです。立ち上げや反対の多い変革のように、この向きが強く働く場面があります。
- Q. 上司のタイプを診断して、部署の判断に使えますか。
- 使わないでください。この診断は本人が自分の傾向を言葉にするためのもので、他人の評価や人事の判断材料として作られていません。回答時点の傾向の目安を出すところまでです。
- Q. 向き先はカリスマ度の点数に影響しますか。
- しません。カリスマ度は影響力と親しみやすさの合計だけで決まります。向き先と表現チャネルは、タイプの分かれ方には使いますが、点数を1点も動かしません。
この記事の出典
- House & Howell「Personality and charismatic leadership」The Leadership Quarterly, 3(2), 81-108 (1992)
- Tskhay, Zhu, Zou & Rule「Charisma in Everyday Life: Conceptualization and Validation of the General Charisma Inventory」Journal of Personality and Social Psychology, 114(1), 131-152 (2018)
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