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借金の時効は「5年たてば消える」ではない|援用しないと消えず、少し払うと振り出しに戻る

この記事でわかること

  • 民法166条は「知った時から5年」と「行使できる時から10年」の早いほう
  • 期間が過ぎても、援用しなければ債権は消えない(民法145条)
  • 権利を承認すると、そこから時効がまた最初から進み始める(152条)
  • 2020年4月1日より前に生じた債権は、改正前の規定で数える

「借金は5年で時効になる」という言い方が広く知られています。この言い方には、抜けているところが3つあります。

抜けているのは、期間の数え方期間が過ぎたあとに必要な手続き期間が振り出しに戻る場面です。この記事では条文の順番どおりに並べます。

1. 期間は2つあって、早いほうで消える

民法166条1項は、債権が時効によって消滅する場合を2つ挙げています。

条文起算点
1号債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき貸した側が「請求できる」と知った時
2号権利を行使することができる時から10年間行使しないとき実際に請求できるようになった時

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この2つのうち、先に来たほうで消滅します。金融機関からの借入では、契約書に返済期日が書かれているため1号の5年が先に来るのが通常です。

2. 期間が過ぎても、それだけでは消えない

ここが最も見落とされる点です。民法145条は、時効は当事者が「援用」しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができないと定めています。

つまり、期間が過ぎただけでは債権は消えません。 援用という意思表示をして初めて、時効の効果が生じます。放っておけば自動的に消えるという制度ではありません。

3. 期間が振り出しに戻る場面がある

時効の期間は、途中でリセットされたり、止まったりします。 用語では「更新」(振り出しに戻る)と「完成猶予」(完成が先に延びる)と呼びます。

起きたこと効果条文
権利の承認(債務があると認めること)更新。その時から新たに進行を始める民法152条
裁判上の請求(訴訟・支払督促など)手続の間は完成猶予。確定判決などで権利が確定すれば更新民法147条
催告(支払えという通知)その時から6か月を経過するまで完成しない(完成猶予民法150条

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催告を繰り返しても、2度目以降の催告には完成猶予の効力はありません(民法150条2項)。

4. 何を確かめれば話が始まるか

  1. 最後に返済した日はいつか。 起算点の手がかりになります
  2. その借入はいつ生じたものか。 2020年4月1日の前か後かで、数え方の枠組みが変わります
  3. 裁判所からの書類を受け取ったことがあるか。 支払督促・訴状は完成猶予・更新に直結します
  4. 債権が別の会社に移っていないか。 債権回収会社(サービサー)名義の請求書が来ることがあります
  5. 信用情報を自分で取り寄せる。 CIC・JICC・KSCの各機関に開示請求ができます

まとめ

  1. 期間は「知った時から5年」と「行使できる時から10年」の早いほう(民法166条1項)
  2. 期間が過ぎただけでは消えない。援用が必要です(145条)
  3. 承認すると、そこから新しく進行が始まる(152条)。一部の支払いや分割の相談も承認にあたることがあります
  4. 2020年4月1日より前に生じた債権は、改正前の規定で数えます
  5. 裁判所からの書類は放置しない。 権利が確定すると主張できなくなります

よくある質問

Q. 最後に返済してから5年たてば、借金は消えますか。
自動的には消えません。民法145条は、時効は当事者が援用しなければ裁判所がこれによって裁判をすることができないと定めています。また、その間に裁判上の請求や権利の承認があれば、時効は更新または完成猶予されているため、期間の起算点自体が動いていることがあります。実際にどうなっているかは、契約の時期と経過によって変わります。
Q. 「少しだけでも払ってください」と言われました。払うとどうなりますか。
一部の支払いが民法152条の「承認」にあたると判断されることがあります。承認があると、その時から時効が新たに進行を始めます。判断に迷う場合は、その場で返答せず、弁護士・司法書士や法テラスなどに相談してから対応することをおすすめします。
Q. 時効の援用はどうやってするのですか。
援用は相手方に対する意思表示です。実務では内容証明郵便で通知する方法がとられることが多いとされています。ただし、そもそも時効期間が経過しているか、更新事由がないかの確認が前提になります。個別の事案について判断し手続を代理することは法律事務にあたるため、弁護士や認定司法書士にご相談ください。
Q. 裁判所から支払督促が届きましたが、時効だと思うので無視していいですか。
無視は最も不利になります。支払督促に対して所定の期間内に督促異議を申し立てないと手続が進み、権利が確定して時効を主張できなくなることがあります。期間が過ぎていると考えている場合でも、書類に記載された期限内に対応してください。
Q. 保証人でも時効を主張できますか。
民法145条は、消滅時効については保証人・物上保証人・第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者も当事者に含むとしています。主たる債務者が援用していなくても、保証人自身が援用できる立場にあります。

この記事の出典

制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または所管の窓口で最新の内容をご確認ください。

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