借金が複数あるとき、どれから返すかで完済時期が変わる|金利順と残高順
この記事でわかること
- 既存の返済シミュレーターはほぼ1社ぶんしか計算できない
- 余力を1社に集中させると、完済した社の返済額が次に回る
- 金利が高い順は利息が最小、残高が少ない順は件数が早く減る
- 毎月の返済額が初回の利息以下だと、元金は1円も減らない
返済が重いときの実態は、たいてい「A社のリボ + B社のカードローン + C社の分割」です。ところがカード会社や銀行が置いている返済シミュレーターは、どれも1社・1本のローンしか計算できません。 合計がいくらで、どれから返すのが早いのかは、自分で組み立てるしかない状態になっています。
この記事では、返済額を増やさずに完済時期を動かす方法である「返す順番」だけを扱います。
なぜ順番で変わるのか
毎月、各社に最低額を払っています。そこに少しでも上乗せできる余力があるとき、それを全社に薄く配るか、1社に集中させるかで結果が変わります。 集中させたほうが早いのは、1社が完済するとその社に払っていた返済額がまるごと浮いて、次の1社に回せるからです。
- 全社に最低額を払う
- 余力を1社だけに上乗せする
- その社が終わったら、最低額 + 余力をまとめて次の社に回す
- 以降、回せる額が雪だるまのように増えていく
毎月の支出は最初から最後まで変わりません。 変わるのは行き先だけです。だから「もっと稼がないと減らない」という前提がなくても効きます。
集中させる先の決め方は2つある
| やり方 | 先に返すもの | 強いところ | 弱いところ |
|---|---|---|---|
| 金利が高い順 | 実質年率がいちばん高い借入 | 支払う利息の合計が最小になる | 残高が大きいものが先に来やすく、1件目が終わるまで長い |
| 残高が少ない順 | 残高がいちばん小さい借入 | 1件目が早く終わり、借入の件数が減る | 利息の合計は金利順よりわずかに増える |
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先に確かめること — 元金が減っているか
順番の話より前に、そもそも元金が減っているかどうかを見る必要があります。見分け方は1つだけです。
毎月の返済額が、初回の利息額以下になっていないか。 残高 × 年率 ÷ 12 が、その月の利息のおおよその額です。返済額がこれを下回っていると、払った分は全部利息に消えて、元金は1円も減りません。
金利には法律の上限がある
利息制限法1条は、借りた元本の額に応じて上限金利を3段階で定めています。
| 元本 | 上限金利(年) |
|---|---|
| 10万円未満 | 20% |
| 10万円以上100万円未満 | 18% |
| 100万円以上 | 15% |
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借入の種類は、善悪ではなく適用される法律の違い
- 消費者金融・信販のカードローン — 貸金業法。年収の3分の1を超える貸付を制限する総量規制の対象です。クレジットカードのキャッシング枠もここに入ります
- 銀行・信用金庫・労金のカードローン — 銀行法なので総量規制の対象外です
- クレジットカードのリボ払い・分割払い — 買い物の支払いなので割賦販売法の側。こちらも総量規制の対象外です
- 奨学金・自動車ローン・家族からの借入 — それぞれ別の枠組みです
種類の違いは、どれが悪いという話ではありません。 ただし総量規制の枠を使い切っていると、消費者金融からは法律上それ以上借りられないので、「まとめるために借り換える」という選択肢がその時点で使えなくなります。自分の借入がどの枠にいるかは、そこで効いてきます。
順番では届かないとき
計算しても完済が見えない、あるいは元金が減らない借入が複数ある場合は、返し方の工夫では届きません。この段階で使えるのは債務整理という制度で、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4つがあります。何が違うかは別の記事で表にしてあります。
まとめ
- まず元金が減っているかを確かめる。 返済額が初回利息以下なら順番の話は届きません
- 余力は1社に集中させる。 完済した社の返済額が次に回るのが効き目の正体です
- 金利が高い順は利息が最小、残高が少ない順は件数が早く減る。 続けられるほうを選んで構いません
- 毎月の支出は増やさない。 変えるのは行き先だけです
よくある質問
- Q. どれから返すのが正解ですか。
- 支払う利息の合計を最小にしたいなら金利が高い順です。借入の件数を早く減らして管理を軽くしたいなら残高が少ない順です。金額の差は状況によりますが、途中でやめてしまうと差は消えるため、続けられるほうを選ぶ判断も成り立ちます。
- Q. 毎月払っているのに残高が減りません。
- 毎月の返済額が、その月の利息額以下になっている可能性があります。残高 × 実質年率 ÷ 12 がおおよその利息です。これを返済額が下回っていると元金は減りません。返済額を上げるか、相談窓口で状況を整理する段階です。
- Q. おまとめローンで1本にすれば早くなりますか。
- 金利が下がるなら利息は減りますが、返済期間が伸びれば総額は増えることもあります。また消費者金融からの借入は総量規制の対象で、年収の3分の1を超える貸付は法律上できません。借り換えが可能かどうかは金額と収入によります。
- Q. 利息制限法の上限を超えているようです。
- 2010年6月18日以降の契約では上限を超える金利は設定されないため、実質年率と月利を読み違えている可能性が高いです。契約書の「実質年率」の欄を確認してください。それでも超えている場合は法テラスなどの窓口で相談してください。
- Q. このツールは何を計算できますか。
- 複数の借入を同時に入力し、金利が高い順・残高が少ない順・そのまま払い続けた場合の3通りを同時に計算します。完済までの月数、支払う利息の合計、完済していく順番を並べて表示します。無料・登録不要で、入力した内容は送信されません。
この記事の出典
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または 所管の窓口で最新の内容をご確認ください。