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手取りが額面より少ない理由は「引かれる順番」にある|昇給しても増えた実感がないのはなぜか

この記事でわかること

  • 給与から引かれるのは社会保険料・所得税・住民税の3つ
  • この3つには順番があり、先に引かれたものが後の計算を小さくする
  • 住民税だけ前年の所得で決まるので、1年遅れて効いてくる
  • 社会保険料には上限があるため、手取りの割合は年収帯によって変わる

「手取りは額面の8割」という言い方をよく見ますが、これは幅のある目安です。同じ額面でも、年齢・扶養している人の数・住んでいる自治体・前年の所得で変わります。 変わる理由は、引かれるものが3つあって、しかも引かれる順番が決まっているからです。

引かれるのは3つ。順番がある

順番引かれるもの何を基準に決まるか
1番目社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険など)月々の給与(標準報酬月額)。年齢によって介護保険料が加わる
2番目所得税額面から給与所得控除・社会保険料・基礎控除などを引いた残り
3番目住民税前年の所得。所得割10%と均等割の定額分

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社会保険料は全額が所得控除の対象になります。順番が「社会保険料が先」なのは計算上の都合ではなく、社会保険料を引いた後の金額に税金がかかるという制度上の順序です。

社会保険料には上限がある

社会保険料は給与に率を掛けて計算しますが、掛ける対象になる額には上限があります。 厚生年金は標準報酬月額65万円(32等級)、健康保険は139万円(50等級)が上限で、それを超える部分には保険料がかかりません。

そのため、年収が上限を大きく超えていく帯では、社会保険料の負担割合は下がっていきます。 一方で所得税は累進なので税率は上がります。「高年収ほど手取り率が低い」と単純には言えないのは、この2つが逆向きに働くためです。

  • 健康保険 — 協会けんぽの全国平均で9.9%(令和8年3月分から)。労使折半なので本人負担はその半分
  • 厚生年金 — 18.3%。こちらも労使折半
  • 介護保険 — 40歳から64歳までの人だけ加算されます。40歳の誕生月から手取りが下がるのはこれが理由です
  • 雇用保険 — 労働者負担分は5/1000(一般の事業・令和8年度)。折半ではなく労働者負担の率が別に決まっています
  • 子ども・子育て支援金 — 令和8年4月に始まった新しい負担で0.23%。労使折半です

住民税だけ、1年遅れて来る

所得税は今年の所得に対して今年払います。住民税は前年の所得に対して、翌年の6月から翌々年5月にかけて払います。 この1年のずれが、体感とのずれをほとんど全部作っています。

起きたこと手取りへの影響が出る時期
昇給した社会保険料と所得税はその年から。住民税は翌年6月から
残業が減って年収が下がった住民税は前年基準のまま。下がった年の負担はいちばん重い
退職して収入が止まった住民税は翌年も請求される。会社の天引きが止まるため自分で納付する
産休・育休に入った社会保険料は申し出により免除される仕組みがある。住民税は免除の対象ではない

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2026年に効いている改正

  • 給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げ(令和8年分以後)。低い年収帯ほど効きます
  • 基礎控除に上乗せがある — 合計所得金額に応じた加算が令和8年分・令和9年分の特例として乗っています。令和10年分からは本則に戻る予定なので、この2年は控除が厚い状態です
  • 子ども・子育て支援金が令和8年4月に開始。医療保険料と一緒に徴収されます

まとめ

  1. 引かれるのは社会保険料・所得税・住民税の3つで、この順番。 先に引かれたものが後の計算を小さくします
  2. 社会保険料には上限がある。 手取り率は年収帯によって向きが変わります
  3. 住民税だけ前年基準。 収入が下がった年がいちばん重く、6月に切り替わります
  4. 40歳・6月・9月の3つが、手取りが動く代表的なタイミングです

よくある質問

Q. 手取りは額面の何割ですか。
年収帯・年齢・扶養人数によって変わるため、一律の割合はお答えできません。社会保険料には上限があり、所得税は累進で、住民税は前年基準です。この3つの組み合わせで決まります。
Q. 40歳になると手取りが減るのはなぜですか。
40歳から64歳までは介護保険の第2号被保険者になり、健康保険料に介護保険料が加算されるためです。65歳になると給与天引きの対象からは外れ、原則として年金からの納付に切り替わります。
Q. 退職したあとの住民税はどうなりますか。
住民税は前年の所得に対してかかるため、退職後も納付が続きます。給与天引き(特別徴収)ができなくなるため、市区町村から送られる納付書で自分で納める(普通徴収)か、退職時に一括徴収してもらう方法があります。
Q. 4〜6月に残業しないほうがいいというのは本当ですか。
多くの会社では4〜6月の報酬をもとに標準報酬月額の定時決定が行われ、その年の9月から翌年8月までの社会保険料が決まります。ただし保険料が上がれば将来の厚生年金額も上がるため、一概に損とは言えません。
Q. この計算ツールは何を出しますか。
年収・年齢・扶養人数から、社会保険料・所得税・住民税の内訳と手取り額の目安を出します。令和8年度の税制改正を反映しています。無料・登録不要で、入力内容は端末の中だけで処理されます。

この記事の出典

制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または 所管の窓口で最新の内容をご確認ください。

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