「お金がないから休めない」の前に確認する順番|傷病手当金は退職後も続くことがある
この記事でわかること
- 傷病手当金は待期3日のあと4日目から、通算1年6か月まで
- 在職中に始めておけば、条件を満たせば退職後も続くことがある
- 月80時間超の時間外労働があるときは、申し出れば医師の面接指導を受けられる
- 病気で働けない間は失業給付を受けられない。代わりに受給期間を延長できる
「休んだほうがいいのは分かっているが、収入が止まるので休めない」。この状態で止まっている人が確認していないことが多いのが、健康保険の傷病手当金です。
この記事では、誰かが「休むべき」と決める話はしません。 制度の順番と、それぞれを判断する立場にいるのが誰かだけを並べます。
1. 傷病手当金 — 休んでいる間の生活費
業務外の病気やけがで療養のため働けず、給料が支払われないときに、健康保険から支給される制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 待期 | 連続して3日間休んだあと、4日目以降の働けなかった日が対象 |
| 1日あたりの額 | 直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2 |
| 支給期間 | 支給を開始した日から通算して1年6か月 |
| 対象外 | 業務上の病気・けが(こちらは労災保険の扱い) |
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2. 在職中に始めておけば、退職後も続くことがある
見落とされやすいのがここです。傷病手当金は退職したら必ず終わる制度ではありません。 一定の条件を満たすと、資格を失ったあとも引き続き受けられます(資格喪失後の継続給付)。
- 退職日までに、継続して1年以上の被保険者期間があること
- 退職時に傷病手当金を受けているか、受けられる状態にあること
- 退職日に出勤すると、その日で条件を満たさなくなる場合があります
3. 在職中に使えるもの — 順番として先に来る
休むかどうかを決める前に、在職のまま動かせるものがあります。どれも根性ではなく制度です。
- 長時間労働者への医師による面接指導。 時間外・休日労働が月80時間を超え、本人が申し出た場合、事業者には実施する義務があります(労働安全衛生法)
- 産業医・衛生管理者への相談。 一定規模の事業場には選任の義務があります
- 年次有給休暇。 年10日以上付与される人には、事業者が年5日を確実に取得させる義務があります
- 時間単位の年次有給休暇。 労使協定があれば、年5日の範囲内で時間単位で使えます
面接指導は「申し出た場合」に事業者の義務になります。 待っていても始まらない一方、申し出れば会社側に実施の義務が生まれる、という形です。
4. 辞めるなら、失業給付は「働ける状態」が前提
退職して失業給付(基本手当)を受けようとするとき、前提になるのは働ける状態にあることです。病気やけがで働けない間は、受けられません。
代わりに使えるのが受給期間の延長です。原則の受給期間は離職の翌日から1年ですが、病気・けが・妊娠・出産・育児などで働けない期間がある場合、最大3年まで延長できます(合計で最長4年)。
誰が判断する立場にいるか
| 判断すること | 判断する人 |
|---|---|
| 病名・療養が必要かどうか | 医師 |
| 傷病手当金を支給するかどうか | 加入している健康保険の保険者 |
| 休職を認めるかどうか、期間 | 勤め先(就業規則による) |
| 受給期間の延長・失業給付 | ハローワーク |
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休んでも戻らない、日常生活に支障が出ているという段階なら、それは疲れの整理ではなく受診の話になります。誰に相談すればいいか分からないときは、厚生労働省のこころの耳に働く人向けの相談窓口の一覧があります。
まとめ
- 傷病手当金は待期3日のあと4日目から、通算1年6か月。 復帰を試した期間は無駄になりません
- 在職中に受けているか、受けられる状態なら、退職後も続くことがある。 先に辞めるとこの道は使えません
- 月80時間超の時間外労働があるときは、申し出れば面接指導が事業者の義務になる
- 病気で働けない間は失業給付を受けられない。 受給期間の延長を申請しておきます
- 病名を判断するのは医師、支給を判断するのは保険者。 チェックはその手前までです
よくある質問
- Q. 傷病手当金はいくらもらえますか。
- 1日あたり、直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が目安です。標準報酬月額は人によって違うため、当サイトでは具体的な金額を示していません。加入している健康保険の窓口か、給与明細の標準報酬月額欄で確認してください。
- Q. 有給を使い切ってからでないと申請できませんか。
- 傷病手当金は、療養のため働けず、給料が支払われない日について支給されます。有給休暇で給与が支払われている日は対象になりません。順番として有給を先に使うか、傷病手当金に切り替えるかは、給与額との関係で変わります。
- Q. 退職すると傷病手当金は止まりますか。
- 必ず止まるわけではありません。退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があり、退職時に傷病手当金を受けているか受けられる状態にある場合、資格喪失後も引き続き受けられることがあります。条件の詳細は加入している健康保険の窓口で確認してください。
- Q. 仕事が原因で体調を崩した場合も傷病手当金ですか。
- 傷病手当金は業務外の病気やけがが対象です。業務上のものは労災保険の扱いになり、窓口も手続きも異なります。どちらに当たるかの判断は当サイトでは行っていません。労働基準監督署や産業医にご相談ください。
- Q. 産業医との面談は、申し出ないと受けられませんか。
- 時間外・休日労働が月80時間を超えた場合の医師による面接指導は、本人の申出があったときに事業者が実施する義務を負う形になっています。申し出ることが起点になります。
この記事の出典
- 全国健康保険協会(協会けんぽ) 傷病手当金
- e-Gov法令検索 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
- e-Gov法令検索 雇用保険法(昭和49年法律第116号)
- 厚生労働省 確かめよう労働条件 年次有給休暇
- 厚生労働省 こころの耳
制度は改正されます。手続きをする前に、必ず上記の一次資料または 所管の窓口で最新の内容をご確認ください。